2013年 02月 24日
【今月のカレンダー】1月のこと |
古い器や、古い着物の柄にぐっときます。
ただ見ていてかわいらしいだけでなく
おめでたい言葉を絵柄にたくしたりしていて、
言葉にはしないまま、祈りや願いがそこに込められているのが
いいなあと思うのです。
1月のカレンダーに描いたのは、実際にわたしが持っているふるいお椀。
古道具屋さんのセールで、おどろくような値段になっていたのをふたつ、
そろいで買い求めました。
鶴が三羽、それぞれ松、竹、梅をくわえて飛んでいる
いかにもおめでたい絵柄です。
器としてはすこし容量が少なめで、実用的とは言い難いところもありますが
おおらかな鶴の姿が気に入って、ずっと手元に置いています。
このお椀、まったく同じ絵柄のものと思いがけないところで再会しました。
今はもういない祖父が生前、といってもかなりむかし、
祖父の生家を片付けるときにこのお椀をそろいで見つけ、
どうせ捨ててしまうのだろう、とひとつだけ持ち帰り、ながくしまってあったのです。
おそらく、祖父自身も忘れていたであろうそのお椀を祖母が探し出してきて仏壇にあげ、
孫のわたしが「この柄、わたし同じの持ってるけど…どうしたの?」と再会したのでした。
ベタといってもいいくらい、オーソドックスでストレートな柄ですから
あの時代、大量に作られ、注文をとったものなのでしょう。
お洒落ではありましたが、道具類にはさほど関心のなかった祖父が
この絵柄を特別に気に入ってとっておいたとは思いにくいですが、
東京と福島、はなれた場所でまったくちがう時期にお椀を手に取ったことを思うと
おもしろいなあ、なんだろうなあ、と感じるのです。
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「今月のカレンダー」では、制作・販売した2013年度のカレンダーの絵柄それぞれに込めた気持ちを書いていきます。
おつきあいいただければうれしいです。
by kittarihattari
| 2013-02-24 21:43
| 今月のカレンダー